おもちゃを貸せない・順番が待てない。「貸して」「どうぞ」を育てる関わり方
友だちにおもちゃを貸せない、取り合いになる、順番を守れない。2〜4歳の貸し借りが難しい理由と、無理に貸させない関わり方、順番を待つ練習を解説します。

「公園で、おもちゃを取り合ってけんかになる」「『貸してあげなさい』と言っても、貸さない」「ブランコの順番が待てない」。貸し借りや順番は、集団の中で、避けて通れない場面です。この記事では、貸し借りが難しい理由と、育てる関わり方を紹介します。
貸せないのは、自然なこと
2〜3歳ごろは、「自分のもの」という意識が、芽生える時期です。
- 「これは、わたしの」という所有の意識が、強くなる
- 相手の気持ちを、想像する力が、まだ育っていない
- 「貸したら、戻ってこない」という見通しが、持てない
- 自分の気持ちを、抑える力が、まだ弱い
貸せないのは、意地悪ではなく、発達の途中の、ごく自然な姿です。
無理に貸させない
親が、周りの目を気にして、「貸してあげなさい」と、強く言ってしまうことがあります。しかし、無理に貸させると、次のようなことが起こります。
- 「貸すのは、嫌なこと」という経験になってしまう
- 気持ちを分かってもらえず、感情が爆発する
- 自分から貸したいという気持ちが、育ちにくくなる
大切なのは、「貸す」という行為を強制することではなく、「自分から貸してもいいな」と思える、気持ちを育てることです。
貸し借りを育てる関わり
気持ちを受け止める
「これ、大事なんだね」「まだ、使いたいんだね」と、まず気持ちを受け止めます。
「あとで」「終わったら」を、教える
「貸さない」でも「貸す」でもなく、「あとで貸す」という選択肢を教えます。
- 「もうちょっと遊んだら、貸してあげようね」
- 「使い終わったら、『どうぞ』って言おうね」
終わったら貸す、戻ってくる、という経験が、「貸しても大丈夫」という安心につながります。
言葉を教える
「かして」「どうぞ」「あとでね」「いいよ」「まだ使ってる」など、場面ごとの言葉を、親が代わりに言ってあげたり、一緒に言ったりします。
貸すお手本を見せる
親が、「ママにも、ちょっと貸してね」「ありがとう」と、やりとりを見せます。親子で、貸し借りごっこをして、経験を積みます。
取られた側の気持ちを、代弁する
「取られて、悲しかったね」と、取られた側の気持ちも代弁します。「貸して」と言われたときに、相手にも気持ちがあることを、少しずつ知っていきます。
順番を待つ力を育てる
見えるようにする
- 並んでいる順番を、「〇〇ちゃんの次ね」と言葉で伝える
- 砂時計やタイマーで、「これが終わったら、交代」と、待つ時間を見える化する
- 数を数える(「10数えたら、交代ね」)
待っている間の過ごし方を考える
待つだけの時間は、長く感じます。「次は、何をしようか」「待っている間に、歌を歌おうか」と、気をそらしたり、待つ時間を楽しくしたりします。
待てたときは、認める
「待てたね、えらいね」と、できたことを具体的に認めます。
家で、順番ごっこをする
家族の中で、ゲームやおもちゃの順番を決めて、「順番にやるのは楽しい」という経験をします。
取り合いになったとき
- 子ども同士が、怪我をしそうなときは、すぐに止める
- どちらかを一方的に叱らず、双方の気持ちを聞く
- 「どうしたいの?」「どうしたらいいかな?」と、一緒に考える
- 相手の保護者がいる場合は、お互いに、焦らず、穏やかに対応する
家での工夫
- 外出先に持っていくおもちゃは、「貸してもいいもの」と、「貸したくない大事なもの」に分ける
- 貸したくない大事なおもちゃは、家に置いてくる
- 同じおもちゃを、複数用意する(砂場セットなど)
相談の目安
- 4〜5歳を過ぎても、貸し借りや、順番が極端に苦手で、日常生活や集団生活に支障がある
- 乱暴な行動が、頻繁に続く
- 他の発達の心配(言葉、こだわりなど)もある
園の先生や、保健センター、小児科で、相談できます。
よくある場面と声かけの例
公園で、友だちにおもちゃを貸せず、泣いてしまった場合の例です。
「これ、使いたいんだね」と気持ちを受け止めます。「もうちょっと遊んだら、『どうぞ』って言ってみようか。お母さんも、一緒に待っているね」と、「あとで貸す」ことを、提案します。
まとめ
貸し借りや順番は、一度で身につくものではありません。無理に貸させず、気持ちを受け止め、言葉と経験を重ねることで、少しずつ、育っていきます。
参考にした情報
- 保育所保育指針、幼稚園教育要領(人間関係に関する部分)
- 社会情動的スキル―学びに向かう力(OECD、ベネッセ教育総合研究所による紹介)
本記事は一般的な情報提供を目的としています。お子さまの発達について心配なことがあれば、小児科や自治体の相談窓口にご相談ください。
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