廊下や店内で走る子、「走らないで」が通じない。ルールを守れるようになる関わり方(2〜5歳)
何度注意しても廊下やお店、駐車場で走ってしまう。2〜5歳が走るのをやめられない理由、「歩こうね」の伝え方、場所別の対策、体を動かす時間のつくり方、相談の目安を解説します。

「廊下を走らないの!」「お店の中では歩くよ」。毎日のように伝えているのに、次の瞬間にはもう走っている。そんな場面が続くと、つい声が大きくなってしまいます。この記事では、走るのをやめられない理由と、場所ごとの対策、ルールを守れるようになる関わり方を紹介します。
なぜ「走らないで」が通じないのか
気持ちが高ぶると、体が先に動く
2〜5歳は、自分の衝動を抑える力(自己制御)が育っている途中です。うれしい、早く着きたい、追いかけられて楽しい、といった気持ちが高まると、「走ってはいけない」と思い出す前に、体が動いてしまいます。
「場所によって変わるルール」は難しい
公園では走ってよく、家の廊下やお店では走ってはいけない。この切り替えは、幼児にとって意外と難しいものです。場所の違いを理解するには、経験と繰り返しが必要です。
走るのが、楽しくて仕方ない
走る、跳ぶといった動きは、この時期の体の発達に欠かせません。体を動かしたい気持ちが満たされていないと、場所を選ばず走り出しやすくなります。
「止まって」の意味が分からない
「走らないで」という否定の言葉は、「では何をするのか」が伝わりにくく、そのまま走り続けてしまうことがあります。
ルールを守りやすくなる関わり方
1. 「走らない」ではなく「歩こうね」と伝える
やめてほしい行動ではなく、やってほしい行動を伝えます。「歩こうね」「ゆっくりだよ」「ママの隣を歩いてね」のほうが、何をすればよいかが伝わります。言うことを聞かないときの声かけの基本と同じ考え方です。
2. 走る前に、約束する
走り出してから止めるのではなく、入る前に約束します。
- 「お店に入るよ。中は、歩くよ。できるかな?」
- 「廊下は、ゆっくり歩くよ。ここまで、競走しないよ」
約束できたら、「約束できたね」と認めてから入ると、守りやすくなります。
3. 歩けたら、すぐ認める
注意するより、できたときの声かけのほうが、行動を変える力が強くなります。「上手に歩けたね」「ぶつからないように、気をつけたね」と、具体的に伝えましょう。
4. 「走ってよい場所と時間」を用意する
ずっと「だめ」と言われ続けると、走りたい気持ちがたまります。
- 外では、思い切り走れる時間をつくる(公園、広場)
- 「お家に着いたら、玄関の前で、5回だけ走ろう」のように、場所と回数を決める
- 雨の日は、室内で体を動かせる遊びを取り入れる
走ってよい場面を示すと、走ってはいけない場面でも、区別しやすくなります。
5. 「歩く」を、遊びにする
- 「忍者のように、そーっと歩こう」
- 「ロボットの歩き方で行こう」
- 「ママのしっぽになって、ついてきてね」
楽しい動きに置き換えると、叱らずに済みます。
場所別の対策
家の廊下・玄関
- 滑りやすい靴下は避ける(滑り止め付きの靴下やスリッパも選択肢)
- 廊下に物を置かない
- 玄関では、戸が開く前に、飛び出さないよう約束しておく
- 集合住宅では、階下への音も気になるため、家の中で走ってよい場所を決めておく
スーパー・お店
- 入る前に約束する
- 子どもに、小さな役割を頼む(「牛乳を取ってね」「かごを一緒に持とう」)
- カートに乗せられる年齢・場面では、乗せたまま移動する
- 疲れや空腹で走りやすくなるため、時間帯を調整する
駐車場・道路
最も危険な場面です。ルールの説明だけに頼らず、環境で守ります。
- 車の近くでは、必ず手をつなぐ。車を降りるときは、親が先に外から子どもを降ろす
- 「止まる」を練習する(「ここで止まるよ」「ストップ!」と声をかけ、止まれたら認める)
- 手を離して走る子には、ハーネスなどの道具も選択肢(子どもの様子を見ながら)
人混みでの飛び出しは、迷子予防の観点でも大切です。
保育園・幼稚園・病院
- 「ここは、みんなが使う場所だよ」と伝える
- 待ち時間は、絵本、シール帳、小さなおもちゃなど、座って遊べるものを用意する
- 走りがちな場面では、「先生の隣を歩く」のように、位置を決める
年齢別の目安
| 年齢 | 状態 | 関わり方 |
|---|---|---|
| 2歳 | 衝動を抑えるのが難しい。「歩く」の意味がまだ曖昧 | 手をつなぐ、環境で守る。理由の説明は短く |
| 3歳 | ルールが少し分かる。守れないことも多い | 入る前の約束と、できたときの声かけ |
| 4歳 | 理由を聞けば理解できる。場所の違いも分かり始める | 「なぜ危ないか」を一緒に考える |
| 5歳 | ルールを意識できる。守ることで認められたい気持ちが強い | 役割を任せる。守れたことを具体的に認める |
避けたい対応
- 「何度言ったら分かるの」と、人格を責める
- 「走ったら置いていくよ」と、不安をあおる脅し
- 走った子だけを何度も叱り、できたときは何も言わない
- 大声で叱り続ける(慣れてしまい、効果が薄れる)
- きょうだいや他の子と比べる
体を動かす時間が足りているか、見直す
走り回りが特に多い場合は、1日の中で、体を思い切り動かす時間が足りているか、見直してみましょう。外遊びが少なかった日ほど、帰宅後に走り回ることがあります。2歳の運動発達の記事にあるように、毎日少しでも外で体を動かす時間をつくると、家の中での落ち着きが変わる子もいます。
相談の目安
- 危険な場面(道路、駐車場)でも、制止がほとんど通じない
- 年齢が上がっても、落ち着きのなさが強く、日常生活や集団生活に支障がある
- 呼びかけへの反応が少ない、目が合いにくいなど、気になる様子もある
- 注意し続けることで、親の疲れが大きい
小児科や、自治体の保健センター、園の先生に相談してみましょう。
まとめ
廊下や店内で走るのは、わがままではなく、衝動を抑える力が育つ途中だからです。「歩こうね」とやることを伝え、入る前に約束し、歩けたらすぐ認める。走ってよい場所と時間も用意しておくと、ルールを守りやすくなります。駐車場や道路では、声かけに頼らず、手をつなぐなど体で守る準備をしておきましょう。
参考にした情報
本記事は一般的な情報提供を目的としています。お子さまの発達について心配なことがあれば、小児科や自治体の相談窓口にご相談ください。
よくある質問
- Q. 「走らないで」と何度言っても聞かないのは、わざとですか?
- 多くの場合、わざとではありません。幼児は気持ちが高ぶると、体が先に動いてしまい、言われたことを思い出す前に走り出します。注意の言葉を増やすより、走りにくい環境をつくる、事前に約束する、できたときに認める、といった関わりのほうが効果的です。
- Q. お店や駐車場で走り出したとき、大声で止めてもよいですか?
- 車が通る場所など、命にかかわる場面では、短く強い声で「止まって」と伝えて構いません。ただし、普段から大声で叱っていると、いざというときに慣れてしまい効きにくくなります。危険な場所では声だけに頼らず、手をつなぐ、抱き上げるなど、体で止める準備をしておきましょう。
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